妊娠を成立させるためには、まず元気で質の良い卵子をしっかり成熟させそれをタイミング良く精子と出会わせてあげなければいけません。そし、て受精卵が卵管から子宮へたどり着き、内膜にしっかり定着(着床)すればみごと妊娠成立です。でも体のどこか1カ所でも悪いところがあれば、このプロセスのどれかを妨げることになり、結果として妊娠できる確率は下がってしまいます。
つまり、妊娠しやすい体とは全ての機能がバランス良く働いている健康な体のことで、健康な体は毎日の食事から作られます。ここでは妊活中に特に積極的に摂りたい栄養素や食材をまとめて見ていきましょう。
体作りの基本「タンパク質」
タンパク質が筋肉や皮膚・髪の毛など、人間の主要なパーツの材料になることはよく知られていますが、それと同時に妊娠成立のプロセスに直接的に関わっている栄養素です。タンパク質は卵細胞を成熟させる酵素の代謝を助け、受精卵が着床するための子宮内膜の材料となり、また着床に成功したあとは胎児そのものを作る材料になります。妊娠成立のありとあらゆるステップで必要になるこのタンパク質が不足していては、とうてい「妊娠しやすい体」とは言えませんね。
私たちが口にするほとんどの食材に含まれているタンパク質。100gあたりの含有量を考えると効率良く摂れるのは肉類や魚、卵になります。また、これらの動物性たんぱく質だけでなく、大豆製品やきのこ、イモ類に含まれる植物性たんぱく質もバランス良くとりいれていきましょう。
心を元気にする栄養「ビタミンB6 」
体のあちこちに指令を出している脳の「視床下部」は、ストレス信号を受け取ると一気に守りの体制に入ります。こうなると排卵を促すホルモン分泌が滞りやすくなり、子宮の機能も低下してしまうのです。ストレスが引き金になって無排卵月経や生理不順につながれば、やはり妊娠力が落ちてしまうことが心配されます。妊活中には体だけでなく心の健康も必要なのです。
そこで妊活中に積極的にとりたいのは、セロトニン(ストレス緩和物質)の分泌を活発にしてくれるビタミンやミネラル類。特にその効果が高いといわれるビタミンB6は、マグロやニンニク、レバーに多く含まれています。おまけにビタミンB6には妊娠中のつわりを軽減してくれる効果もありますよ。
卵子を若返らせる栄養「ビタミンE」と「カロチン」
女性の年齢が上がるほど妊娠確率が下がってしまうのには、ひとつに「卵子の老化」があると言われています。そこで妊活中におすすめしたいのがカボチャやニンジンなどの色鮮やかな緑黄色野菜とナッツ類。これらの食材に含まれるカロチンとビタミンEは、体の老化に対抗する力をもっています。卵子の老化スピードを緩めてその質を維持してやるだけで、数年後の妊娠確率に大きく影響してくるんですよ。
妊娠成立に不可欠なミネラル「亜鉛」と「鉄分」
卵胞を成熟させ排卵へ導いてくれるのが2つのミネラル、亜鉛と鉄分。このどちらかが欠けていると妊娠を成立させるためのエネルギーも不足し、卵子の質低下や、受精卵の成長停止を招いてしまいます。
亜鉛は牡蠣や豚レバー、鉄分はパセリやしめじなどに多く含まれていますが、単品では吸収率が悪いのでクエン酸やビタミンCと一緒に摂るようにしましょう。
おわりに
妊娠力を上げるためにはサプリメントやハーブティーも有効ですが、それらはあくまでも補助的な存在です。まずは、ベースとなるお母さんの体に妊娠・出産という大イベントを受け入れるだけの体力がなければあまり意味がないのです。今までは体重を気にしてお肉を避けていた人や、好き嫌いが多くて偏食気味だった人も、これをきっかけに食生活の見直しを行っていきましょう。